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Q&A 土壌の物理性、化学性、生物性とは何ですか?

お客様からよくお問い合わせいただく内容について、この場をお借りして少しずつお答えしていきたいと考えております。土づくりに関する技術的なご相談は「土の無料相談」からもお問い合わせいただけます。

土の物理性とは何ですか?

物理性は水や空気の移動に大きく関係する要素で、一般的には排水性・通気性・保水性などのことを指します。通気性・排水性が損なわれると、新しい酸素が土中に供給されず、植物の根が窒息して根腐れを起こしやすくなります。物理性を維持・向上させるためには、土の構造を理解することが重要です。

土は岩・石・砂や土などの粒、シルト(細砂)、粘土、有機物等の固体と微生物が生産した物質などが混ざりあい、これらの粒と粒の間には空気や水を含んだ細かい空間が無数に存在しています。この固体の部分を「固相」、水などの液体の部分を「液相」、空気を「気相」といい、この三つを「土の三相」、さらに三相の割合のことを「三相分布」と呼びます。この三相のうち一つでも欠けたり、三相分布のバランスの悪い土は良い土とはいえません 三相分布の状態は土の透水性、保水性、通気性に影響を与え、ひいては保肥力などにも関係します。

また、物理性の良い土の構造を細かく調べてみると、微細な粒子がたくさん集まって団子状(団粒)になっていることがわかります。これを土の「団粒構造」と呼びます。団粒構造をもつ土は、団粒と団粒の間の隙間に空気や水をよく含み、通気性・排水性が良くなります。団粒構造をしっかり作っていくためには、微粒子同士を接着する糊(のり)が非常に重要です。そのためには土壌中の腐植を増やす、微生物の活性を高める(生物性を改善する)など長期的な対策が必要になります。

団粒構造で三相のバランスが良い土単粒構造の土

土の化学性とは何ですか?

化学性は土のpHや養分などの性質のことで、目に見えないけれど重要な部分です。日本で栽培する植物には中性~弱酸性(pH6.5~5.5)を好むものが多いので、pH(酸度)が強い酸性やアルカリ性に偏らないように注意する必要があります。一般的に、pHが酸性もしくはアルカリ性に偏れば養分の吸収が阻害されたり微量要素の吸収が阻害されたりすると言われ、どちらも生育不良につながります。

肥料のなかでも、窒素(N)・リン(P)・カリウム(K)は土壌中で不足することが多く、肥料として施したときの効果も現れやすいので、特に三要素と呼ばれています。これらに次いで植物から必要とされる、カルシウム・マグネシウム・硫黄のことを二次要素(または特殊成分)と呼びます。更に、上記のものに比べて必要量の少ないホウ素・マンガン・鉄・亜鉛・銅・モリブデン・塩素・ニッケルの8要素を微量要素といいます。これらのうちいずれかが欠乏したり、または過剰となったりすると植物の生育にとって有害で、様々な生理障害を引き起こします。

透水性と保水性のバランスが良く、大抵の植物に合うので、鉢植の基本用土とされています。水はけ、水もちなどのニーズに応じて粒の大小と硬さで使い分けるのがコツです。基本的に弱酸性ですが、土質(産地)によってpHがかなり異なるので、場合によっては石灰資材等で調整する必要があります。

土の生物性とは何ですか?

生物性は土中の有機物や微生物・小動物の量と活動の活発さのことです。一般的に、「肥えた土」「肥沃な土」と呼ばれるものは、肥料分が多い土のことではなく、有機物や微生物を豊富に含んだ土のことを指しています。有機物と有用微生物が豊富に含まれている土では有機物の分解が持続的に行われ、植物の生育を良くし、さらに物理性も改善する効果があります。

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