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phmeter

年齢がばれる? 土壌pHのお話

えっ!? 今はペーハーって言わないんですか? 

みなさんこんにちは。ホーネンアグリ営業部の坂野です。土に関係する仕事をさせていただくようになって、「pH」を「ピーエイチ」または「ピーエッチ」と読むのが正しいことを知りました。学校では確かに「ペーハー」と習った気がするのですが、その読み方が許されるのは昭和までだそうです(笑)

いつごろから「ピーエイチ」等が正解になったのか、そのボーダーラインは定かではないのですが、「JIS Z 8802 pH測定方法」には確かに「ピーエイチまたはピーエッチ」と規定されているそうです。ただし(私を含む)やや年配の層では未だにペーハーも使われていますし、古い専門書でもペーハーと表記したものがありますから、ペーハーの存在も(一応)知っておいたほうがコミュニケーションしやすいと言えそうです。

pHの値と作物生育の関係

ところで、基本的なことかもしれませんが、pH(ピーエイチ)は、植物の生育と密接な関係があります。そのストライクゾーンは、一般的に6.0~6.5くらいと言われますが、極端にそこから外れた場合、いったい何が起こるでしょうか。

pHがかなり下がった場合、つまり土壌が強い酸性になった場合、それまで土壌中に固形物として存在していたものが次々と溶けだしてきます。例えばアルミニウムはpH5.0以下でかなり溶出しやすくなりますが、多くの植物にとってアルミニウムイオンは猛毒(!)なので、根張りが悪くなってしまいます。
また、溶けだしたアルミニウムが多いと、リン酸と結合してリン酸アルミニウムになって沈殿します。同様に、鉄もどんどん溶けてリン酸と結合し、リン酸鉄となって沈殿します。そうすると、これらは固形物ですので一般的な植物ではほとんど活用できません。つまり、リン酸の肥効率が低下するということですね。
微量要素として必要不可欠なマンガンも、溶けすぎてしまって植物にとって有毒(過剰障害)になったり、溶けて土のずっと深い層へ流れ去ってしまって、後にマンガン欠乏症が発生したりと散々な結果になります。

逆にpHが上がった場合はどうでしょうか。まず、鉄やマンガン、ホウ素といった微量要素が溶けなくなるため、各種の要素欠乏症が発生しやすくなります。また、pHが高いアルカリ土壌では、リン酸がカルシウムと結合しやすくなります。pH8を超えると、リン酸はリン酸三石灰という極めて利用しにくい物質に変化してしまい、リン酸欠乏症が発生しやすくなります。そして、先ほど「毒」と言ったアルミニウムですが、高いpHではアルミニウムが溶けにくくなり、そのせいで微生物由来の病害が発生しやすくなるというデータもあるそうです。

適正pHの範囲を決定づける要素は

以上のように、pHが変化することで土壌中の様々な物質が溶け出したり、あるいは溶けにくくなったりします。植物にはそれぞれ、各種の物質に対する要求量と、逆にそれが過剰な場合にどの程度まで耐えられるかの限界量があり、その大小が適正なpHの範囲を決定していると言えます。

例えば、一般的な畑作物ではpH6.0~6.5程度が適正域ですが、果樹の場合はもう少し繊細です。リンゴの縮果病はホウ素欠乏が原因で発生するため、リンゴ園ではホウ素が溶け出しやすい弱酸性のpH6前後が良いとされています。
マンガンは葉緑素中の光合成反応で重要な微量要素で、マンガン欠乏の圃場ではモモの出来がわるくなることから、モモ園の土壌pHはやや低い5.5~6.0くらいが良いそうです。(ちなみにジャガイモの好適pHは5.0程度ですが、これはジャガイモそうか病を発生しにくくするためだったりします。)

pHは適正に、そして植物の種類に応じて

植物の適正pHを知り、その特性にあわせて土壌のpHを管理することで、植物が必要な肥料成分をきちんと吸収できるようになります。収穫量と品質を上げるために、pHにもこだわっていただきたいです。

株式会社ホーネンアグリ営業部 坂野(土壌医)

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