水稲育苗のポイント
絶対に失敗できない、それが水稲育苗
今回は、水稲育苗のスタートである播種作業に関するポイントをお話ししたいと思います。水稲育苗は絶対に失敗できない(したくない)工程だと思います。ですが、毎年多数の育苗をされる熟練の生産者様でも、ちょっとしたことが原因で苗の生育に影響することがあるようです。
水の量はジャストが重要!
まずは、土や水の量をしっかり計測して播種作業をはじめることをお勧めしています。というのは、水稲の床土に対してかん水する量は培土の種類によって決まっているからです。土の量に対して決められた割合の水をかけることで、種子の周りの水分を発芽に適した環境にすることができます。水分が少なすぎると根上がりの原因になりますし、多すぎると過湿で発芽不良をおこします。薬剤をかん水に入れているなら、箱の底から排水としてジャブジャブ流れていくのは経済的にも環境的にも優しくないと言えるでしょう。
ですから、水の量はちょうどぴったりに調整していただくことをおすすめします。弊社のホーネンス培土1号の場合、育苗箱1個あたり床土として1.8kg詰めた場合でかん水量は800mlを推奨しています。蒸気出芽方式の場合は800mlです。細かいですよね。でもこれがちょうどよいと考えています。
培土の量もジャストが重要!
弊社のホーネンス培土1号の使用量は、床土に1箱あたり1.8kg、覆土に1.3kgが標準です。覆土の量も非常に重要で、少ないと根上がりや種子の露出の原因になります。培土と水の量が適正だと、種子の周辺が出芽に適した水分量になり、発芽の揃いが良くなります。
また、種まきの最中に培土が足りなくなることは避けたいですよね。きちんと培土の量を量って作業を始めれば、培土の不足・過剰の心配が減ります。水稲培土を大量に使い残すと保管にも気を使いますし、ピートモス等で軽量化した製品の場合はそもそも翌年へのもちこしを禁止している製品もあります。ですから、土は残さず使い切っていただくほうが経済的だと思います。
培土が残ってしまったら
ピートモスを多く使用している軽量水稲培土の場合、時間の経過とともに水が染みこみにくくなる(はっ水する)心配が出てきます。こうした製品が残ってしまった場合は、翌年の水稲播種に使用しないほうが良いです。(詳しくは各商品の説明書きをお読みください。)
ホーネンス培土1号や3号といった粒状培土の場合は、基本的には翌年に持ち越して使っても問題ありません。ただし、乾燥させると培土の性能が著しく低下してしまうので、乾燥させないようにご注意ください。また、温度変化が大きい環境に置くと、袋の内部で水分が偏って品質の低下を招く場合があります。培土の保管は雨や直射日光を避け、気温変化の影響を受けにくい倉庫に保管してください。
用法・用量は正しく
用法・用量について包装袋やチラシ等の記載内容をご確認のうえ、正しくお使いください。そうすれば、少なくとも出芽工程での失敗リスクは下げられると考えています。
株式会社ホーネンアグリ営業部 坂野(土壌医)