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どこが違う? リン酸と亜リン酸のお話

最近話題の亜リン酸

肥料の三要素といえば、チッソ・リンサン・カリ。そのひとつ、リン酸には一般的に花芽充実、着果促進、発根促進等の機能があることが知られています。細胞分裂に欠かせない栄養素であるため、特に生育初期で重要な肥料だと言えます。
ところで、最近は亜リン酸肥料の話を耳にする機会が増えてきました。ネギ、大豆、麦、アスパラガスなど、様々な作物で亜リン酸を使用して収量が増加したというデータが報告されており、通常のリン酸(正リン酸)とは異なる機能をもつ肥料として認識されつつあります。そこで今回は、この二つの違いと、使い方のポイントについてお話ししたいと思います。

分子の違いと植物体内でのうごき

一般的に肥料としてよく使用されるのは、主にリン酸(H3PO4)で、正リン酸とも呼ばれています。いっぽう亜リン酸の分子式はH3PO3で、正リン酸より酸素原子「O」が1つ少なくなっており、正リン酸よりも分子量(分子のサイズ)が小さいです。そのため、亜リン酸は正リン酸と比較して、①作物体内での転流が速い②水への溶解度が高い③植物に素早く吸収されやすい④土壌に固定されにくい、といった特徴があります。亜リン酸は正リン酸に比べ葉や根からの吸収が早く、その効果(花芽の充実、着果促進、根群充実)も正リン酸より高いとされることが多いようです。

亜リン酸に置き換えてもいいの?

そんなに素晴らしい亜リン酸だったら、正リン酸の代わりに切り替えてしまっても良いものでしょうか。・・・どうやら、そうではなさそうです。正リン酸が少ない条件下で多量の亜リン酸を施用すると、効果が見られなかったり、植物に障害が出たりという事例も報告されています。また、水に溶けやすいがゆえに、多量に施用した場合には濃度障害を起こすリスクが高くなることに注意する必要があります。

何ごともバランスが大切

亜リン酸は適量・適切に使うと有効な肥料だといえますが、植物に対する効果のメカニズムについてはよく分かっていない部分もあるそうです。ですから、使用する際は正リン酸の一部を亜リン酸に置き換えるなど、プラスαとして使うのが良いと思います。他の資材にも言えることですが、極端に偏った施用は避け、バランスの取れた適量を探っていくことが大切ではないでしょうか。

ホーネンアグリ 営業部 鈴木

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