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培養土とは何か 徹底解説!!

培養土とは何か

培養土とは何か、ざっくり言えば「植物を育てるために人工的に調合された土壌」のことです。ひとくくりに「土」と言っても、例えば田畑の土と自然の山野の土では全く性質が違います。どのような物質で構成されているか、粒子の大きさ、物理的な性質、科学的な性質、微生物の多寡、肥沃度の高低、そして植物の生育に適しているか・・・などなど、その内容はじつに複雑です。ですから、まず土とは何かについてお話ししていきましょう。

土壌は何からできているか

畑などの土を虫眼鏡などで観察すると、たいへん多くの要素がひしめき合っていることに気づかされます。砕けた岩の破片や砂、粘土や泥のようにトロトロした部分、植物の破片や繊維状の物質、そして意外に多くの小さな生き物たち・・・実に多様です。
これらがまさに土の正体で、岩石が細かい砂や微粒子になるまで砕けて風化した物質、微生物や植物の体やそれらが死んで朽ちたもの、そしてそれらが複雑に結びついた結果生まれた物質の混合物だと言えます。ここで、いずれの物質も単独では土壌にはならないことは重要なポイントです。一般的な土壌には、様々な微粒子同士が結合を重ねて土のかたまりを形成する「団粒構造」という構造があり、このことが土壌の通気性や保水性に大きく関わっています。こうした土壌の機能や構造を人工的に再現、発展させたものが培養土だと言えます。

団粒構造形成の模式図(培養土とは何か)
団粒構造形成の模式図

培養土のつくりかた

土壌の構造を人工的に再現するためには、様々な大きさ・性質をもつ原料を組み合わせる必要があります。一般的な培養土は複数の(粒状または粉状の)素材を混ぜ合わせて作られますが、その配合比率や素材の種類を変えることで様々な植物に対応するバリエーションを生み出しています。
また、培養土は人工的な土壌ですから、ある意味で工業製品的な生産性を求められるものです。つまり、大量に、そして均質に生産されることが望ましいと言えます。どんな培養土も「価格が安い方が良い!」という人間側の都合という呪縛からは逃れられません。そのためには、できるだけ幅広い植物に対応できるようにすることも重要だと言えます。

培養土原料の分類

培養土の原料は、培養土の基礎的な性質を決定づける「基本用土」、培養土の性質を改良する目的で追加する「補助用土」、そして肥料などの添加物から構成されています。植物の種類や栽培方法などに応じてこれらを組み合わせ、培養土は作られています。以下に、筆者の独断と偏見による(ゆるくてフワっとした)各種原料の特性と評価の図を掲載します。(原料の種類については長くなるので、等ブログの「Q&A 培養土とはなんですか?」をご覧ください。)

培養土原料の特性と評価(培養土とは何か)
※原料の産地等によってもかなり異なるので、参考程度にご覧ください。

良い培養土とは

当たり前のことかもしれませんが、良い培養土とは、植物が良く育つ培養土だと思います。ですから、良い培養土を作るには、植物がどんな環境を好むか知る必要があります。一方で、一般的な作物ならだいたいOKという最大公約数的な性能・数値にしておくことも重要です。ここでは、「一般的な」培養土のポイント=条件についてお話ししたいと思います。

➀物理性が良いこと
(1) 水がちゃんと染みる=はっ水が無い
極端に乾燥した培養土は水をはじく場合があります。そうなると植物の栽培どころではありません。とりわけピートモスには乾燥すると水をはじく性質があるので注意が必要です。ピートモスに撥水防止剤を添加して加工した製品もありますが、その効果も時間の経過とともに低下します。園芸用培養土は買ったその年に使い切ることをおすすめします。
(2) 水もち・水はけが良い
水もち(保水性)と水はけ(透水性・排水性)は一見矛盾するようですが、両立させることが重要です。余分な水がすみやかに抜け落ちて、培養土の粒子と粒子の間に水分が多く保持されるようなイメージです。ピートモスやヤシガラ原料などはかなり保水力の高い素材ですが、大量に使用すると水はけが悪くなります。水はけが悪いと、生育がわるくなるばかりでなく、根腐れや病気の原因になる場合があります。
(3) 適度に軽い
プロのポット育苗などでは一度に数十本の苗を持ち運ぶ場合もあり、適度に軽い方が作業性が良くなります。いわゆる比重(正確には現物容積重)が、1.0前後だとかなり重く、0.4前後くらいだと軽く感じられると思います。トマトやキュウリなど苗姿が大きくなる作物を育苗する場合、やや重めの培養土のほうがポットが安定します。培養土の軽量化には、モミガラ堆肥やピートモス類、パーライトなどを配合するのが有効です。

②化学性が良いこと
(1) ECが適正
種まきの場合は0.3~0.5と低め、ポット育苗は0.5~1.2と中程度、プランターなら1.0~1.2くらいが適正だと思います。肥料を長持ちさせようとして多量に入れると、急激にECが高くなる場合があるので注意が必要です。EC(またはEC値)について、詳しくは当ブログの「EC(電気伝導度)のお話」をご覧ください。
(2) pHが適正
一般的な作物の場合、pHのストライクゾーンは6.0~6.5くらいです。極端に高い、あるいは低い場合は植物の生育に悪影響をおよぼす場合があります。また、製造した直後は適正なpHであっても、経年変化で変化する場合があります。ですから、培養土は買ったそのシーズンにすべて使い切るのが理想です。pHに関しては「年齢がばれる? 土壌pHのお話」を併せてご覧ください。
(3) 肥料成分が適正
一般的な果菜類のポット育苗の場合だと、肥料成分添加量でN(チッソ)が200~250mg/L程度が無難です。種まきの用土ですと、弊社ではN120mg/LN180mg/Lプラグメイトという製品が売れ筋です。肥料の入れすぎは肥焼け(濃度障害)の原因になりますので、適量の初期肥料でスタートして、必要なら追肥するほうが安心です。堆肥は安価で有用な素材ですが、配合割合が高すぎるとミネラルバランスが崩れ、生育障害を助長しやすくなります。(ミネラルバランスについては「肥料成分の三角関係? 知っておきたい相互作用」をご覧ください。)
(4) 肥もち(保肥力)が適正
土壌には水に溶けた肥料などの陽イオンを吸着する力があり、このキャパシティのことをCEC(塩基置換容量)といいます。CECが高い土は、アンモニア態窒素やカルシウム、マグネシウム、カリウムといった肥料成分を長いあいだ土に留めておく=保持することが可能です。補助用土のゼオライトは極めてCECが高い素材ですが、高価なのが難点です。ちなみに、CECまで表記した培養土はほとんどありません。

分析室(培養土とは何か)

③生物性が良いこと
(1) 堆肥などは適量で

土壌微生物は肥料の効き方や植物の生育、土壌病原菌に対する耐性などに影響します。育苗用の培養土では微生物の活性はあまり気にされていませんが、堆肥などである程度の微生物が存在する培養土のほうが好ましいと考える人も多いです。
(2) 未熟堆肥はNO!
堆肥は安価で、一部の肥料成分を豊富に含んでいる有用な素材です。ただ、非常に安価な培養土の中には未熟な堆肥を大量に使用しているものが散見されます。こうした培養土では時間の経過や温度変化で微生物活性が高まり、予期せぬ変化を起こす場合があるので注意が必要です。

長くなりましたが、良い培養土とは、土壌に求められる要素である「物理性」「化学性」「生物性」を満たしたものだと考えて良いと思います。栽培しながら気になるポイントがあったら、素材の種類や量を変えたり、肥料成分添加量を変えるなど試してみるのも良いでしょう。(メーカー製の培養土に手を加えると、サポート対象外となりますのでご注意ください。)

買った園芸用培養土を使いこなすポイント

ほぼ園芸用培養土に限ったことですが、配合されている窒素成分が時間の経過ともに変化し、硝酸態窒素に変化していきます。このことにより、ECは上がり、pHは下がり、初期成育はやや良くなり、肥料切れが早まるといった変化が起きる傾向にあります。
また、ピートモスを大量に使用している培養土では、製造から時間がたって乾燥すると水をはじく恐れがあります。
こうした変化は、あらゆる園芸用培養土に起こりうるため、「そういうものだ」と知って培養土を取り扱うことが重要です。その際のポイントを2点、以下に挙げます。(使い方に関して詳しくは園芸培土の上手な使い方(ポット用培土編)園芸培土の上手な使い方(プラグ・播種培土編)をご覧ください。)

➀買ったそのとき使い切る!
新しい培養土と古い培養土を使って同時に栽培すると、生育に差が出る場合があります。これは植物の生育を揃えなくてはならないプロの生産者様にとっては大問題でしょう。園芸用培養土の変化は避けられませんから、使い残しを翌年使うのは避けていただきたいです。どうしても使わざるを得ない場合は、古い培養土を新しい培養土に少しずつ混ぜながら消費するのがおすすめです。
②乾燥して水をはじくようになった培養土の対策
使用前の培養土にわずかな水を加え、ふんわりと混ぜ合わせながらよく馴染ませてください。水の量は乾燥の程度によりますが、培養土を握りしめても水が滴らず、わずかな湿り気を感じる程度が良いと思います。水を少量ずつ足しながら、空気を入れるようにフワっとまぜるのがコツです。こうすることで若干ですが撥水が緩和されます。

土を知って、豊かな実り(稔り)を

培養土は人間でいえば衣食住そのものにあたり、農業生産の成否に直結する重要な資材だと考えています。弊社でも素材の吟味から設計、製造、品質管理には慎重を期しています。(園芸培土に関して詳しくは、製品案内および工場見学ツアーをご覧ください。)
お客様におかれても、土を上手に使いこなしていただき、生産性のアップ、更には豊かな実りを獲得していただければ嬉しいです。

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